IT導入補助金活用事例:業務自動化ツール導入で300万円の補助を獲得した方法
✅ この事例でわかること
- 実際の申請から採択までの全プロセス(4ヶ月間)
- 補助金300万円を獲得した具体的な申請内容
- 業務自動化で得られた実際の効果(数値データ)
- 申請書類の作成ポイントと審査対応のコツ
- 導入後の運用体制と ROI(投資対効果)
🏢 企業プロフィール
株式会社サンプル製作所(仮名)
| 業種 | 金属加工・製造業 |
| 従業員数 | 28名 |
| 年商 | 約8億円 |
| 所在地 | 愛知県 |
| 設立 | 1995年 |
😰 導入前の課題
1. 業務の属人化と手作業の多さ
- 見積書作成: Excel手入力で1件あたり30分、月間200件 = 100時間
- 発注書処理: メールから手動でシステム入力、1件15分、月間150件 = 37.5時間
- 在庫確認: 複数システムを手動確認、1日2時間 × 20日 = 40時間
- 請求書発行: 手作業で照合・発行、月末に集中して50時間
2. システム間のデータ分断
- 販売管理システム(オンプレミス)
- 会計ソフト(クラウド)
- 顧客管理(Excel)
- 在庫管理(独自Access)
これら4つのシステムが連携しておらず、データの二重入力が発生していました。
💡 導入したソリューション
システム構成
📦 導入ツール・サービス(総額600万円)
- 統合基幹システム: kintone(年間ライセンス + カスタマイズ)- 300万円
- 業務自動化プラットフォーム: n8nベース自動化サービス - 150万円
- 会計ソフト連携: freee会計API連携設定 - 50万円
- 導入支援・研修: システム設計、データ移行、社員研修 - 100万円
✅ IT導入補助金(通常枠A類型)採択額: 300万円(補助率1/2)
実質負担: 300万円(補助金活用により半額で導入)
自動化したワークフロー
| 業務 | 自動化前 | 自動化後 | 削減効果 |
|---|---|---|---|
| 見積書作成 | 30分/件 | 5分/件 | 83%削減 |
| 発注書処理 | 15分/件 | 自動(0分) | 100%削減 |
| 在庫確認 | 2時間/日 | リアルタイム自動 | 100%削減 |
| 請求書発行 | 50時間/月 | 10時間/月 | 80%削減 |
📅 申請から導入までのタイムライン
準備・計画
- IT導入支援事業者への相談開始
- 現状業務の課題整理とヒアリング
- 導入ツールの選定と見積もり取得
- 社内稟議・予算確保
申請書類作成
- gBizIDプライム取得(2週間)
- 事業計画書作成(IT支援事業者がサポート)
- 導入効果の数値シミュレーション
- 申請書類一式の提出
採択通知
- 交付決定通知を受領(申請から約2ヶ月)
- IT支援事業者と正式契約
- 詳細要件定義の開始
システム構築・導入
- kintoneアプリ構築(2ヶ月)
- n8n自動化ワークフロー設定(1ヶ月)
- 既存データの移行
- 社員向け操作研修(3回実施)
本番稼働・実績報告
- 全社での本番稼働開始
- 事業実績報告書の提出
- 補助金の入金(報告から約1ヶ月後)
📝 申請書類作成のポイント
1. 事業計画書で重視した点
✅ 具体的な数値目標を明示
- 業務時間削減: 227.5時間/月 → 50時間/月(78%削減)
- ミス削減: 月間60件 → 5件以下(92%削減)
- コスト削減: 人件費換算で年間400万円削減
- 売上向上: 空いた時間を営業に充て、年間10%増収目標
2. 審査で評価された内容
- 現状分析の詳細さ: 業務フロー図と工数データを添付
- 導入効果の具体性: Before/Afterを数値で比較
- 継続利用の計画: 3年後までのロードマップを記載
- 社内体制: 専任担当者の配置と研修計画
- 投資回収計画: 1.5年でのROI達成見込みを提示
3. 添付資料
- 業務フロー図(現状 vs 導入後)
- 工数集計表(3ヶ月分の実データ)
- システム構成図
- 見積書(IT支援事業者発行)
- 会社案内・決算書(直近2期分)
📊 導入後の効果(6ヶ月経過時点)
定量的な効果
| 指標 | 導入前 | 導入後(6ヶ月) | 改善率 |
|---|---|---|---|
| 月間事務作業時間 | 227.5時間 | 42時間 | ▲81.5% |
| データ入力ミス | 月間58件 | 月間4件 | ▲93.1% |
| 見積書作成時間 | 100時間/月 | 17時間/月 | ▲83.0% |
| 請求書処理時間 | 50時間/月 | 8時間/月 | ▲84.0% |
定性的な効果
- ✅ 社員の残業時間が平均で月20時間削減
- ✅ リアルタイムでの在庫・売上確認が可能に
- ✅ 経営判断のスピードが向上(週次レポート自動生成)
- ✅ 顧客からの問い合わせ対応が迅速化(即答率80%→95%)
- ✅ 事務スタッフのモチベーション向上(単純作業からの解放)
💰 投資回収(ROI)
1年4ヶ月で投資回収達成見込み
初期投資
- 総額: 600万円
- 補助金: 300万円
- 実質負担: 300万円
年間削減コスト(試算)
- 人件費削減: 320万円(事務作業時間185時間/月 × 時給3,000円 × 12ヶ月)
- ミス対応コスト削減: 50万円
- 残業代削減: 80万円
- 合計: 450万円/年
投資回収期間 = 300万円 ÷ 450万円 = 0.67年(約8ヶ月)
※ランニングコスト(年間150万円)を考慮しても、1年4ヶ月で回収見込み
⚠️ 導入時の課題と対策
直面した課題
- 社員の抵抗感: 「今までのやり方で問題ない」という声
- データ移行の複雑さ: 過去5年分のデータ整理に想定以上の時間
- 操作習熟の時間: 特に年配社員の習得に時間がかかった
実施した対策
- 経営トップのコミットメント: 社長自ら研修に参加し率先利用
- 段階的な導入: 見積書作成から段階的にシステム化
- 手厚いサポート: 導入後3ヶ月は週1回の定例サポート
- マニュアル整備: 動画マニュアルを作成し、いつでも視聴可能に
📝 これから申請する企業へのアドバイス
- 早めの準備開始: 申請から入金まで約8ヶ月、余裕を持って計画
- IT支援事業者選びが重要: 実績豊富で申請サポートに強い事業者を選定
- 現状データの収集: 業務時間やミス件数など、客観的なデータを3ヶ月分蓄積
- 社内の合意形成: 申請前に全社員への説明会を実施
- 具体的な数値目標: 「効率化」ではなく「78%削減」など具体的に
📝 まとめ
成功のポイント
- ✅ 現状の課題を数値で明確化(227.5時間/月の手作業)
- ✅ 導入効果を具体的に試算(78%削減、年間450万円のコスト削減)
- ✅ 実績豊富なIT支援事業者との連携
- ✅ 段階的な導入と手厚いサポート体制
- ✅ 補助金300万円で実質負担を半額に軽減
- ✅ 1年4ヶ月での投資回収を実現